*メールマガジン「おおや通信 104」 2013年3月18日


 北国にとって、3月は雪解けの月です。降り積もった雪が春の太陽に温められ、透明な水となってほとばしります。私はこの季節が一番好きです。ほとばしる水が新しい命の息吹を感じさせてくれるからです。そして、それは新しい希望へとつながっているからです。

 12人の6年生のみなさん。卒業、おめでとうございます。君たちは6年間、大谷小学校に元気に通ってくれました。そして、最後の1年間は全体の大黒柱として、この学校を支えてくれました。教職員を代表して、あらためて「ありがとう」という言葉を贈りたいと思います。
 一人ひとりに、はなむけの言葉を贈ります。

通信104 卒業式写真 修正版13’3’28.jpg
この春、大谷小学校からは12人が巣立っていきました。校長も一緒に卒業しました


白田凌士(りょうじ)君
 東日本大震災があった2年前の秋、津波で大きな被害を受けた宮城県七ケ浜町の小学生を迎えて、大谷小学校で交流の集いが開かれました。お互いに初対面でしたから、最初はぎこちなかったのですが、君は真っ先に相手に声をかけて、その場の雰囲気を和ませてくれました。おかげで、リンゴもぎも、その後の芋煮会もとても楽しいものになりました。本当にありがとう。最初に口火を切るというのは何事につけても大変なことです。そういう自分のいいところを大切にして、大工さんになるという目標に向かって真っすぐに進んで行ってください。

白田 実(みのり)さん
 あなたはとても物静かな生徒ですが、みんなのことを実によく見てくれていました。給食の配膳の時も、掃除の時も、下級生にきめ細かく気配りをしてくれていましたね。ありがとう。書道が得意で、書き初めでよく金賞を取っていました。ピアノも習っていました。そのピアノの先生がひいている姿をみて、自分もピアノの先生になることを目標にしたのですね。一歩ずつ前に進んで、その夢を実現してください。

白田知里(ちさと)さん
 町の陸上競技記録会で、あなたはリレーのアンカーとして走ってくれました。青葉の中を走る姿は輝いていました。みんなに勇気を与える走りでした。学校では鼓隊の指揮者として全体をまとめ、放送委員としてみんなを引っ張ってくれました。ありがとう。お母さんもおばあちゃんも花が大好きで、将来は花屋さんになるのが夢ですね。お店を訪ねた時に思わず笑みがこぼれる、そんな花屋さんになってください。

白田好稀(よしき)君
 日光と福島に修学旅行に行った時の帰りのバスのことを思い出します。君は、「ワイルドだろう?」とスギちゃんのもの真似を連発しました。バスの中は爆笑の渦でした。スポーツ少年団でバスケットの練習に励む君の姿からは想像もできない、もう一つの意外な顔を見せてくれました。「芸は身を助ける」と言います。その才能を大切にしてください。カーレーサーになるのが夢で、そのためにちゃんと勉強しますと書いていました。夢を叶えるために、その誓いを大切にしてください。

志藤 桃さん
 あなたは、ニコニコしている時が本当に多かったですね。苦しい時でも笑顔を忘れず、みんなを励ましてくれました。そのえくぼに表彰状をあげたいくらいでした。ありがとう。優しい看護師さんになって患者さんを勇気づけてあげるのが夢です。優しさは折り紙付きです。一歩一歩、その夢に向かって進んでください。

志藤周平君
 君の笑顔も、時には桃ちゃんに負けないくらいでした。クラス全体、学校全体をいつも明るくしてくれて、ありがとう。スポ少のバスケットの練習も一生懸命にやっていましたね。体育館でそのドリブルのうまさを見て、感心したことを覚えています。夢は美容師になって、お客さんみんなを笑顔にすること。大丈夫です。今の笑顔を忘れずに努力すれば、きっと実現できます。

白田真子(まこ)さん
 あなたは、4年前に私が大谷小学校の校長として赴任した時、最初に出会った生徒でした。始業式で3年生を代表して「がんばり発表」をすることになり、その練習のために一人で学校に来ていました。あの時は自信がなさそうでしたが、今では、みんなの前で話す時にも実に堂々としています。頼もしい限りです。将来の夢は犬や猫の世話をするトリマーですね。これからも自信を持って前に進み、その夢を叶えてください。

遠藤 翼君
 君は、クラスでは勉強の面でも行事でもみんなの背中を押してあげる役割を引き受けてくれました。また、縦割り班では下級生の面倒を見る班長の役割をしっかり果たしてくれました。何でも安心して任せることができる生徒でした。本当にありがとう。将来はテニスの選手になって世界の各地を訪ねたいという夢を抱いています。中学に進んでも、これまで同様、文武両道で頑張って、その夢に挑戦してください。

白田いぶきさん
 5年生の秋に田んぼで稲刈りをした時のことを思い出します。みんなが戸惑っている中で、あなたはしっかりと稲を刈り、束ねていました。宿泊学習で、木をこすり合わせて火起こしに挑戦した時も、最初に火おこしに成功したのはあなたの班でした。慣れない、大変なことをする時、クラスのみんなはいつも、あなたがどうするかを見ていました。とても頼りになる存在でした。将来の夢はマンガ家。厳しい道ですが、じっくり構えて自分を磨き、夢を叶えてください。

阿部慎吾君
 君は町の陸上競技記録会でも水泳記録会でも大活躍し、みんなを引っ張ってくれました。運動会でも赤組の組頭として獅子奮迅の活躍でした。ありがとう。君にはサッカーのことをたくさん教えてもらいました。地元のチーム、モンテディオ山形のことは誰よりも詳しかったですね。夢はサッカーの強い大学に入って、プロのサッカー選手になること。高い運動能力を活かしてその夢に挑戦してください。

川村優貴乃(ゆきの)さん
 大谷小の体育館で剣道の練習を始めて間もない、4年生のころでした。あなたは「いくら練習しても結果が出ない」と少し悩んでいました。けれども、その後も練習を休むことはありませんでした。精進を重ね、剣道の大会で次々に優勝カップを手にするようになりました。「努力は裏切らない」ということを身をもって知ったのではないでしょうか。「剣道日本一」という目標に向かって、これからも倦(う)まず弛(たゆ)まず、研鑽を積んでください。

川村さくらさん
 あなたは、クラスで一番静かな生徒でした。でも、作文を読むと、口には出さなくてもあなたがいろいろなことを深く考えていることがよく分かりました。学校文集に、おばあちゃんと黒豆を煮てお正月料理を作ったことを書いていました。優れた作文でした。これからも自分の力を信じて、文章を書き続けてください。洋服のデザイナーになるのが目標です。新しいものを生み出すという点では、文章もデザインも共通するものがあります。コツコツと努力を積み重ねてください。

在校生のみなさん
 いつもみんなをリードしてくれた6年生は、今日、大谷小学校から巣立っていきます。少し心細いかもしれませんが、4月からは新しい仲間が入ってきます。その新しい仲間と力を合わせて、また「元気で楽しい学校」をつくっていきましょう。伝統というものは、そうやって少しずつ積み上げていかれるのだと思います。私も一緒に卒業しますが、新しい先生方と新しい伝統を築いていってください。

保護者のみなさま
 お子様のご卒業、まことにおめでとうございます。みなさまに手をつながれて大谷小学校の門をくぐったお子様は、今や中学校の制服に身を包み、こんなに大きくなりました。それぞれ、胸にこみ上げてくるものがあるのではないでしょうか。この6年間、お子様を元気に大谷小学校に通わせていただき、本当にありがとうございました。どの子も、豊かな感受性と多様な才能に恵まれています。大らかな目で、また温かい心で、これからもお子様たちの成長を見守ってあげてください。もちろん、わたくしたちもいつまでも応援し続けます。

ご来賓のみなさま
 本日はお忙しい中、大谷小学校の卒業式にご臨席たまわり、誠にありがとうございました。校長として4年間、大谷小学校を運営してまいりましたが、朝日町と北部地区のみなさまには、あらゆる局面で最大限の支援をしていただきました。あらためて、深く感謝申し上げます。
 4年間を振り返ると、与えるよりも与えられることの方が多い日々でした。教えるよりも教わることの方が多い4年間だったような気がします。感謝の言葉を重ねて、卒業式のご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

  *3月18日、山形県朝日町立大谷小学校の平成24年度卒業式での校長あいさつ