*メールマガジン「おおや通信 85」 2012年7月6日


 自分の出身県ながら、このごろ「山形県は偉いなぁ」と、つくづく思います。
 昨年の東日本大震災の後、ガソリンや灯油が手に入らず、みんなとても困りました。それでも、山形県内では不満を口にする人はあまりいませんでした。「まずは津波の被災地に早くガソリンを届けなければいけない。私たちは我慢しよう」。そう思い定めて、みんなで耐え忍びました。

石巻市の惨状 修正版.jpg
大津波に襲われた宮城県石巻市の沿岸部の惨状(2011年4月24日)

 岩手県や宮城県の被災地が膨大な量のがれきの処理に困っていると知るや、真っ先に受け入れを表明したのも山形県でした。「頑張れ!東北」などと声高に叫びながら、いざ自分の所でがれきを受け入れる段になると「放射能で汚染されている恐れがある」といった住民のクレームを理由に受け入れを渋る自治体が多い中で、その潔さは際立っていました。

 福島県からは、原発事故の影響で小中学生の県外脱出が相次いでいます。その子どもたちを一番多く受け入れているのも山形県です。米沢市や山形市の奮闘ぶりには、本当に頭が下がります。

 「まさかの時の友こそ真の友」という英語の格言があります。
  A friend in need is a friend indeed.
 高校の英語の授業で教わりました。忘れられない格言の一つです。
困っている時に手を差し伸べてくれる友人こそ本当の友人、という意味です。山形の人たちの行動こそ、その良いお手本でしょう。

 こうしたことを外に向かって宣伝しないのも、山形らしいところでしょうか。正直者が馬鹿を見る貧しい社会から、正直者がきちんと報われる豊かな社会へ。難しい道かもしれませんが、そうした社会に向かって一歩ずつ進んで行きたい。

 *大谷小学校のPTA便り「おおや」第88号(平成24年6月15日発行)の
連載コラム「豊かさとは何か(10)」に加筆